カラスは黄色いものを嫌がる、ということを耳にすることがありましたが。しかしこれは誤りのようです。

カラス研究の杉田昭栄先生が開発された”黄色い”ごみ袋がどうやらその説の原点になっている、とそのお弟子さんの塚原先生が著書「カラスをだます」の中で言及されています。

杉田師考案のゴミ袋には、紫外線をカットする特殊な顔料が練りこまれている。…(中略)…ゴミ袋の特殊顔料が可視光を部分的に吸収するため、ヒトにとってはたまたま黄色に見えているのだ。

「カラスをだます」塚原直樹

本書によると、カラスはヒトには見えない紫外線を認識できるそうです。食べ物を探しているカラスはその視力の良さからゴミ袋の中の食べ物を見つけます。

ところが紫外線カットによってゴミ袋の中に食べ物があるかどうか分からなくなると、当てずっぽうでゴミ袋を漁るしかないため、カラスの苦労も多くなることから漁りにくくなり、結果的にゴミ漁りで撒き散らされる被害が減る、ということのようです。

塚原さんの著書は科学的読み物としてかなり面白く、実験することや発想の自由さも楽しみながら読めます。中学校で習った理科の知識をどうやって世の中で役立てているか知る機会にもなりますので、お子さんにもオススメできる本だと思います。